【10分で理解】薬局の在宅訪問 事務の仕事は?(初心者向け)

2019年8月11日

業界でどんどん進捗している薬剤師のお宅訪問。なぜこんなにはやっているのでしょうか。この記事では、そのバック背景から、実際にごお宅訪問の案件が始動する際の作業工程や、注意点について紹介します。

1.薬局の在宅訪問とは

その名のとおり、薬剤師が患者さまのご自宅に訪問し、お薬を届け、服薬指導することです。超高齢化社会といわれる現代では、お体の都合から自ら病院や薬局に行けない患者様もいます。だから以下のような流れができあがりました。


 ①ドクターが患者様のご自宅へ訪問し診療(訪問診療)
 ②ドクターが処方箋を発行
 ③患者様が薬局へ処方箋を送信(メール・FAX等)
 ④薬剤師がお薬を自宅へ運び服薬指導

これにより患者様は体に負担をかけることなく、医療サービスを受けることができます。

「自分の親が・・・」と考えるとありがたいサービスですよね。

2.薬局が在宅訪問を増やしたい理由

売上を伸ばすためです。
薬局も運営しているのは会社。つまりは受付ける処方箋枚数(売上)を伸ばさなければいけないですね。

薬局は病院の近くに作ることが多く、処方箋の枚数はその病院の患者数に依存しやすいです。

では、処方箋枚数を増やすにはどうするか。

その薬局の地域周辺の他の病院で診療を受けた患者様と契約をし、処方箋を受付け在宅訪問すれば、処方箋の受付枚数を増やすことができる、というわけです。(もちろん、在宅訪問した際には点数を取ることができます

また、門前の病院(近くの病院)以外の病院の処方箋を受付けることは、集中率の低下につながるので、収益が出やすくなります。

意味わからんという方はこちら→ 調剤基本料、地域支援体制加算

これが、薬局(正確には運営側)が在宅訪問を増やしたい理由です。

3.在宅訪問を開始するために必要なこと

①患者様との契約
②各関係者様への連絡
③薬の飲み方を工夫するためのツールの準備

①患者様との契約

在宅訪問をするには、移動に関わる交通費や駐車料金がかかります。

外来の患者さん同様の加算では利益を出すことができません。このため在宅訪問をする際には在宅専用の加算が存在します。

居宅療養管理指導」という加算です。これは患者様と契約をしてはじめてとれる加算です。

主に患者様のご自宅へ伺いサービス内容をご理解いただいた上で契約を進めましょう。

②各関係者様への連絡

在宅訪問を必要とする患者様には、その方を取り巻く関係者がたくさんいらっしゃいます。ドクター、ケアマネージャー、ヘルパー等々。

その方々は総合的に患者様の生活を周知してアクションプランを立てています。

このため、在宅訪問をする際には、患者様を担当しているケアマネージャーさん、病院担当者への連絡が必要です。患者様が在宅によるお薬管理をはじめたことを報告しましょう。

また、「居宅療養管理指導」の加算をとるには、患者様のご自宅でお薬を渡し服薬指導をするたびに、都度ケアマネージャー・ドクターへの報告書の提出が必要です。今後の報告書の提出方法なども連絡する必要があります。

③薬の飲み方を工夫するためのツールの準備

在宅訪問を必要とする患者様は、認知症の影響などから、お薬を飲み忘れてしまったり、逆に飲みすぎてしまったりすることもあります。

これを防止するためにカレンダー式のお薬ホルダーにパッキングしたお薬をセットしてお渡ししたり、トレイ式のツールにお薬を入れたりといった工夫ができる体制を整えましょう。

4.在宅訪問をする際の事務員のタスク

会社によって事務員の業務の線引きは様々です。ただしテクニシャン制度も導入されている今、事務員の業務範囲は広がりつつあります。在宅訪問においても、法律の範囲内で事務員ができることは、極力事務員に任せる傾向があるでしょう。

①契約
②受信した処方箋のパソコン入力
②薬不要ツールの準備

以上3つは少なくとも事務員が行うタスクと思ってよいと思います。

事務員がお薬をもっていく事はできません。薬局で事務員が患者様にお薬をお渡しできないのと同じように、ご自宅でも投薬・服薬指導をすることは禁じられているからです。

処方箋入力も事務員のタスクになります。「居宅療養管理指導」の加算をとる場合は、国民保険や公費とは別に介護保険を利用して加算をとります。外来処方箋とは入力方法に違いがあるので、お店のルールに従って入力しましょう。

まとめ

いかがでしたか。在宅訪問による服薬指導は、もちろん薬局運営側からすると売上を伸ばす為に(いや、生き残るために)必要な取り組みですが、それ自体が大きく社会貢献できるサービスです。事務員としても、より密接に患者様と関わりあえる機会となるので、ぜひ前向きに取り組んでみてください。